†失†

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  そうなれば、 後はそれらを無理にでも 認識させる以外、 何も出来ない状況。 しかし、 ディフェル達では 簡単には出来ない事に 提案が尽き、落ちる沈黙。 「叔父上にお願いして、母上の事をお訊きするのは如何ですか?」 その中で上がる セキルからの提案。 「“母上”…?」 父の事は最初に理解し、 その後は記憶としても 思い出していたが、 たった今、 セキルに提案されるまでは 母の事に点いて、 存在を問う事さえなかったロア。 何故か、 これまで一度も 会話にさえ出て来なかった ロアとセキルの母。 長い間、臥せり 表に出た事がなく ロアが七歳の年に セキルを産むと同時に 儚くなっている為に、 セキルは勿論、 ディフェル、レティスでさえも 殆んど面識がなかった。 故に 思い出す切っ掛けがなかったと 言えばそれまでだったが…。 詳しく知っているのは 夫であった聖主と 聖主の実兄、ミレアだけ。 その母の事を思い出す為に ロアは叔父であるミレアに 合うこととなった。  
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