†失†

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  セキルからの提案があった翌日。 ディフェルから 前日の話を聞いたミレアは 早速、ロアに会うために 聖殿を訪れていた。 聖棟から 母が使っていたらしい居住棟に ミレアと二人で向かうロア。 聖務室で会った時に 挨拶を交わしてからは 一言の会話もなく歩く二人。 初めて見た時には セキル同様に 恐いと感じた叔父。 だが、 今は、 叔父の後を着いて歩きながら その後ろ姿を見詰め ロアは、 何故か警戒していた。 何故、警戒が必要なのか、 ロア自身にも分からない。 しかし、 何故か、 本能的に生まれる警戒心。 思い出している記憶の中では 礼儀作法や躾に厳しいだけの、 それ以外では 優しい叔父だったが、 直接、対面した瞬間にロアは 強い警戒心を覚えていた。 「叔父上…。」 無言のまま歩き続ける中での ロアからの呼び掛け。 会話が無い事に 堪えきれなかったからではなく 純粋に感じた疑問を問う為の声。  
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