†失†

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  ―――目覚める。 いつの間にか、 自分の寝室で眠っていたロア。 いつもの寝台。 見慣れた天蓋の光景。 それを見た瞬間に溢れ出る 母に関する記憶と…、 「あ…。」 唇をついて上がる、 「あぁぁぁぁ―ッ!!」 「ロアッ!?」 絶望の叫び。 「アァァァァッ!!…あぁぁッ!!…」 「ロアッ!?どうした!?ロアッ!?」 目を見開き、 絶叫を上げ続けるロアに 驚き焦り落ち着かせようと 寝台の外に控えていたクロアが 声を掛け姿を見せると、 「あぁ…ッ!!…ぁ…クロアッ!!」 ロアは両腕を伸ばし、 クロアの胸にキツく縋り付く。 「クロアッ!!…こ……こ………。」 怯えきった声。 ハッキリと分かる 震えた身体。 「ここ…ッ!!」 「此処がどうした?」 喘ぐように息を吐き、 必死に声を振り絞る ロアの言葉を、 クロアが華奢な身体を抱き締め、 繰り返しながら聞き取ると、 「ここでッ!!…この部屋でッ!!」 母親の部屋で倒れ、 目覚めたロアの唇から、 「ここで“私は死んだんだッ!!”」 母が壊れた原因を知った日の 絶望が告げられた。  
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