†失†

13/41
前へ
/519ページ
次へ
  「クロア…。」 どれだけ無言の時が流れたのか 分からなかったが、 「母上は私と父上が関わる“何か”が原因で…心が壊れた方だった…。」 ぽつりと語り始める、 母の記憶。 「自分の子供である私が、ずっと、ずっと分からなくて…。」 ぽつり、 「いつも、薄紅の薔薇を持って行くと、とても喜んで下さって…。」 ぽつりと、 「自分の子供に“素敵な名前を付けるのだ”と…、いつも、いつも、幸せそうに微笑まれていた…。」 語る、想い出話。 「私の…名前は…母上が付けて下さったんだ。」 “ロア”が母から贈られた たった一つの贈り物。 「弟のセキルを…護って欲しいと…護ると約束した。」 最初で最後に交わした約束。 「何度も…何度も…謝られて…。」         -オモイ- 最後に知った母の気持ち。 「母を……母上の……最後の願いを護って…自分の子供の事を想いたくても、想えなかった…。母親に成りたかったと願い続けた母上に報いるためにも…せめて、弟を護ると決めたのに…。」 ―――溢れ出る。 ロアの母に対する心と 想いと決意の言葉。  
/519ページ

最初のコメントを投稿しよう!

223人が本棚に入れています
本棚に追加