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「クロア…。」
どれだけ無言の時が流れたのか
分からなかったが、
「母上は私と父上が関わる“何か”が原因で…心が壊れた方だった…。」
ぽつりと語り始める、
母の記憶。
「自分の子供である私が、ずっと、ずっと分からなくて…。」
ぽつり、
「いつも、薄紅の薔薇を持って行くと、とても喜んで下さって…。」
ぽつりと、
「自分の子供に“素敵な名前を付けるのだ”と…、いつも、いつも、幸せそうに微笑まれていた…。」
語る、想い出話。
「私の…名前は…母上が付けて下さったんだ。」
“ロア”が母から贈られた
たった一つの贈り物。
「弟のセキルを…護って欲しいと…護ると約束した。」
最初で最後に交わした約束。
「何度も…何度も…謝られて…。」
-オモイ-
最後に知った母の気持ち。
「母を……母上の……最後の願いを護って…自分の子供の事を想いたくても、想えなかった…。母親に成りたかったと願い続けた母上に報いるためにも…せめて、弟を護ると決めたのに…。」
―――溢れ出る。
ロアの母に対する心と
想いと決意の言葉。
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