†失†

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  静かに、      淡々と、 切な気に      トツトツ      訥訥と、 語られる、 悲しくて、切なくて、 残酷な程に優しい想い出。 「でも……。」 不意に言い淀み、 再び、小刻みに震え出す身体。 そんな、 身を竦ませ強張るロアの身体を 強く抱き締め直すクロア。 ロアは酸素を求めるように クロアの腕の中で 息を喘がせると、 「母上が壊れたのは父上のせいで…私も…いつか、同じ原因でセキルを…あの子の未来を壊して…狂わせてしまう。」 クロアも知っている、 記憶のあったロアが 壊れた切っ掛けを告白した。 ――――― それが、 “何か”は分からなかった。 母を狂わせ、 護ると誓った弟の未来まで 壊し狂わせてしまう原因の何か。 ただ、一つだけ、 ハッキリと分かる事は、 「私は確かに、あの部屋で……“死んだんだ”」 原因を知った日に 弟と先の未来を護る為に、 確かに自分の寝室で 自ら命を絶った事。  
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