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そして、
そのまま訊ねる。
「クロア、お前は“成人前の次期に会った事があるね。”」
これまで、
クロアとロアが一度も、誰にも
話していない、
二人の本当の出会いの時を
唐突に確認してきた。
「成人なされる二年前に一度、聖域の外へお出になられた話しは存じております。」
レティスの確認に
一部の事実だけで応えるクロア。
「その二年前の日に中央、智天使長補佐の使いが、神殿に来ていてね。」
クロアの応えを拾い、
指摘を続けるレティス。
当時、
智天使長補佐の使いで
神殿に来ていた者の記録を
暗に指摘する言葉。
「回りくどい言い方をせずに、単刀直入に言うと…クロア、お前は“成人前の次期を知った上で、次期聖主側近になる選択をした。”…違うかな?」
クロアがロアの側近となった
切っ掛けと理由をレティスは
穏やかに問い掛ける。
「如何なる内容であろうと、志願理由を応える事は出来ません。」
レティスの問い掛けの
真意が何であろうと、
否定も肯定もしない
クロアの答え。
「お前ほど、役目に忠実な者が、当時の役目を辞任して次期聖主の側近に志願するには、それなりの理由と覚悟がなければ有りえないと思ってね。」
確信を何一つ口にしない
クロアに構わず、
指摘の理由を
レティスは説明する。
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