†失†

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  「“成人前と成人後の次期。”」 先程の確認と関係あるように 不意の隙を付く間合いで 呟くレティス。 問い掛けの意図を 静観した態度で測るクロアに 真偽を求めるように告げる一言。 「もしも…その違いの変化に、聖主と成る為の何かが関わっていたら…お前はどうする?」 次期聖主側近であれば 当然、知っているであろう、 ロアの変化の理由や原因等を、 あくまで仮定を以て レティスは問い掛ける。 「変わらず忠誠を誓い、お護りし、尽くすだけです。」 側近としての、 真摯なクロアの応え。 「そうか…。それを聞いて安心した。」 安堵の微笑みを浮かべ、 納得するレティス。 「では、失礼します。」 レティスとのやり取りを終えて、 聖司官執務室を一時、 退室するクロア。 その姿を見送り、レティスは クロアの応えを反芻し、 「“護る”と言う事を意識し過ぎだよ…クロア。」 そっと囁き、 思索の眼差しで 淡い微笑みを浮かべていた。  
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