†失†

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  「そうだ。」 聖主はロアの問いに 隠す事なく応え、 「あれは私が剪定し、あの棟の管理を続けている、聖霊に渡しているモノだ。」 母の部屋に 薔薇が飾られる経緯を 説明してくれた。 ロアの考えた通り、 今も母を想い続けている父。 叔父の教えてくれた あの誓いは事実なのだろうが、 真実ではない父の心。 今でも、 生前に好きだった華を育て 贈り続ける程に想っている母を 壊してしまった“何か” 父だけではなく 自分にも存在するそれ。 母との約束と弟を護る為に、 知らなくてはならない、 自分が命を絶った原因でもある それを、 「父上…。」 今、知るべきか迷い、躊躇い 訊ねるようとすると 「ロア。」 父がロアの言葉を制し、 「今のお前には、教えても理解できない。先ずは理解する為の記憶を思い出しなさい。」 ロアが聖主に 訊こうとしている内容を 知っている上で それを知るよりも先に 必要な事を聖主はロアに告げた。  
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