†失†

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  ロアが聖司官の書類に 目を通し始めて数日。 深夜、 クロアの部屋の前でフィリルは ロアの目が通った書類を クロアと共に確認しながら、 「やっぱり…ロア様…だよねぇ…。」 目を通すだけの筈が 明らかにロアの文字で 細かく訂正されている 幾つかの書類に、 複雑な心境の溜め息を 吐いていた。 「責任感の強い方ですので…。」 最初の日はクロアの隣で 躊躇いながら、 書類を見ているだけだったロア。 その内に 少しずつ気になる点を クロアに指摘し始め、 最後にはクロアの勧めと説得で ロア自身が指摘や訂正を 書き込むようになっていた。 「だけど、“聖司官様”の事は…分からないんだよね…。」 “書き込むようになった” と、言っても、 数枚は僅かであり、 拒絶意識も消えないロアの状況。 誰かが、どこかのタイミングで 行動しなくてはならなかったが 強制させる形となる事に 遣り切れない思いを 感じずにはいられない決断。  
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