†失†

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  「兄上。」 「“神殿”は大兄君の管轄だッ!!」 言葉を繰り返し 拒絶を続けるロア。 頑なに神殿の 聖司官の事を 拒もうとするロアに 「“セフィロトの苗木”」 「――ッ!!“知らないッ!!”」 代理の存在しない ロア自身の事をセキルは告げ、 ロアは更に激しく 拒絶の叫びを上げてしまう。 「そうやって、一番重要な事を否定されているのに、何を思い出すおつもりですか?」 「―――ヤメロッ!!」 気付かないようにしていた 己の中の矛盾を突き付けられ 混乱して行くロアの意識。 「手を…離せッ!!」 これ以上は何も聞きたくなく 何も考えられず、 セキルから逃げたくても、 クロアの指輪に縋りたくても、 右手を掴まれている為に どちらも出来ずに上がる声。 「そうすれば、クロアの部屋から出て下さいますか?」 「関係ないッ!!」 手を離す条件として クロアの部屋から出る事を 要求するセキルの言葉に ロアは興奮して声を荒げ、 「クロアと私の事に“お前は関係ないだろうッ!!”」 セキルにとって、     ゲンジツ “最悪の言葉”を突き付けた。  
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