†失†

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  最後にセキルを見た、 セキルと対峙した回廊。 その先に繋がる場を考えて、 「……………“聖央塔”です」 フィリルが呟いた時、 クロアが 聖司官執務室へと帰室し 「“聖央塔”」 たった今、聞こえたばかりの フィリルの呟きを 瞠目と共に愕然と繰り返した。 「クロアッ!!」 フィリルの焦りと驚きが 混ざり合う声。 聖域で自分の代わりに ロアの傍にいる筈のフィリル。 何故か緊張した 聖司官執務室内の空気。 そして、 “聖央塔” ロアを…、 【セフィロトの苗木】を 封印し眠らせる場を表す一言。 それら全ての状況を 認識した瞬間、 「これをお願いします」 「えッ!?ぁ…おい、クロアッ!?」 クロアは手にしていた書類を フィリルに押し付け、 状況の確認すらせず、 恐ろしい程に冷静すぎる態度で 聖司官執務室を飛び出した。  
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