†悲†

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  ―――聖央塔地下“生命の間” 天井、床、壁、と部屋の全てが 柔らかな乳白色の光を放つ 白き虹色の水晶で出来ている 命の温もりに包まれた 巨大な大広間。 中央の床に描かれた 大きな封印の紋様陣と 陣の中心に置かれた 天蓋付きの寝台以外は何もない、 その空間に響く、 「セキル―ッ!!」 ロアの悲痛な懇願の声。 セキルの腕に抱き上げられ 無理矢理に生命の間へと 連れてこられたロア。 「ッ………ぁ………イ、ヤだ…」 「兄上」 「―――――厭だッ!!」 生命の間に辿り着くまでは セキルの腕から降りて 逃げようと必死だったが、 生命の間に辿り着いた途端に それまでとは逆に、 セキルに縋り付き顔を伏せ 視界を塞ぐ事で 逃れられない場から 逃れようと足掻くロアの姿。 セキルはそんなロアを 封印の陣の手前で床に降ろし、 「兄上」 「厭だッ!!此所は…厭だッ!!」 「兄上」 「ッ!!」 降ろされた床に座り込み 深く俯き耳を塞ぎ 眼を閉じるロアの正面に屈み 耳を塞ぐロアの両手を掴むと、 耳から離す反動で床に押し倒す。  
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