†悲†

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  酷く蒼褪めた表情で クロアの胸倉を掴み、 「いいかッ!!お前が兄上を護れッ!!」 必死の形相で、 「兄上の側近ではなく、恋人として…ッ!!お前ッ!!…お前が兄上を…必ず護れッ!!クロアッ!!」 切願の叫びを クロアに向けたセキル。 その時は 何の事だか分からなかった。 後に、 ロアから 聖務室での話しを聞き、 正当な聖主の資格を持つ者が セキルだったと知って、 言葉の意味を理解した。   ―†聖主の宿命†― それ故に親愛の情から 大罪の愛に狂い始めたセキル。 初めは兄であるロアを 自分から護ろうと必死だった姿。 ロアが “次期聖主”と成らなくては 回避できない宿命。 「ロア…」 ひたすらに愛するだけでは 誰も救えない現実に        サケビ クロアの迷いの声が 静かに流れた。  
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