†悲†

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  「ロア様の明日の朝のご用意と巡廻です」 「………………………」 すんなりと応えるクロアの 最後の一言に 勝手に棟内を放浪していた ディフェルは 思わず無言となってしまうが、 ロアの側近として 当たり前の務めを 果たしているだけの クロアの言葉。 「……で、その部屋は何だ?」 巡廻の一言を聞き流した上で クロアの立っていた扉の部屋を ディフェルは指摘し訊ねる。 「ロア様との思い出がある部屋です」 「次期との…?」 誤魔化す事なく あっさりと応えられた事と 意外な内容に 僅かに驚きを露にする ディフェル。 全く使われていない、 使われた形跡も無い一劃に 存在している思い出の部屋。 「それは…」 「ディフェル様、今日は有り難う御座いました」 「あ…あぁ、気にするな」 ディフェルが部屋の詳細を 問い掛ける前に クロアが生命の間での一件を 唐突に感謝してきた為、 先を塞がれてしまう ディフェルの問い。  
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