†悲†

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  ロアで在って ロアでは無い者の呟き。 そこに、 「ロアッ!!」 鋭い聖主の声が 叩き付けられると スッ―と、 黒鳥の軌跡を 懐かしみを帯びた眼差しで 見詰めていた者の姿が消え去り、 糸の切れた人形の様に 地に倒れ込みそうになるロア。 聖主はロアの体が 完全に地に落ちる寸前で なんとか受け止め、 ぐったりと 完全にロアの意識が無い事を 確認すると ロア―息子―を強く抱き締める。 「これは…私の息子の体だ…ッ!!」          ウッタエ 絞り出す様な声での言葉。 ロアの心が壊れた隙を突いて 顕れた者。 初代聖主“―――” その正体と目的を 聖主は思い考え、 鋭く苛烈な怒りに満ちた瞳で 黒鳥の消えた聖域の夜空を 睨み見据えた。  
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