†悲†

19/40
前へ
/519ページ
次へ
  ―死んだ筈の自分が、  生きている異常な現実。― 「え……あ……ッ!!わたッ……!」 愕然と上がる、 「“何で生きてるんですかッ!?”」 掠れた狂気の叫び。 「私が生かしたからだ」 常識では考えられない 父の答え。 命を絶った息子を蘇らせたと 平然と告げる父に覚える戦慄。 「生か……どう…やって……?なんで……?………どうして………」 徐々に錯乱して行く意識の中で 「どうして、そのまま死なせてくれなかったんですかッ!!」 上がる混乱と失意の叫び。 溢れる絶望の涙。 母を想い、 弟の未来を願い 同じ原因を持つ父ならばと信じ、 謝罪しながら下した決断。 遠退く意識の中で、 悲しむであろう家族を想い 後悔した。 せめて弟の未来が 平穏であれと祈った。 なのに、 到底、信じられない方法で 裏切られた願い。 その理由が、 「お前が“セフィロトの苗木”の定めを持つからだ」 「ッ…!!」   【セフィロトの苗木】  
/519ページ

最初のコメントを投稿しよう!

223人が本棚に入れています
本棚に追加