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――すると、
ロアからクロアに
重ねられる唇。
そっと、繊細に
柔らかく優しく、
クロアの方へと身を乗り出し
甘やかに―
ロアから交わされる口付け。
泡沫の蜜のように
直ぐに蕩けて終わってしまう
柔かなロアの唇が離れると、
「ロア?」
「私には…何も無いから…」
口付けの意味を告げる、
「私だけしか…お前にやれるモノが無いから…」
ロアの一言。
物である自分には
クロアに与えられるモノが
何一つ無いから…。
せめて、
自分自身を捧げようと伝える
-アイ-
切実な応え。
必死に、
壊れた心の片隅で、
クロアの恋人として生きようと
足掻いているロア。
そんな姿に
「お前は俺の恋人だ」
モノではないロアの存在を証し、
「お前に何も無いのなら…」
壊れたロアの心に
「俺がお前を愛して、全てを与えてやる」
クロアは自身の全てで
心と感情を注ぎ続ける。
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