†悲†

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  ロアの居住棟の隣に位置する セキルの居住棟。 その二つの間を通り、 他の棟へと抜ける 吹き抜けの廻廊に 生命の間での一件から 聖主に謹慎を言い渡されている セキルの姿があった。 “謹慎”とは云っても、 それはあの場に居た ディフェルや、 その後に事の詳細を知る レティス達を納得させる為の 対外的なモノであり、 ロアに接触しなければ 自由に過ごす事が許されている セキル。 そのため、中央での仕事を 自分の棟内で行っている セキルはその時、 聖棟に届いた中央からの書類を 取りに行き戻る途中だった。 ロアの居住棟の中庭の一部にも 接している為に、 遠目にはなるが、 ロアの中庭の様子を 望む事も出きる廻廊。 セキルは書類を手に帰る途中で 何気無くロアの中庭の方を 見てしまい、 遠くに見えた噴水と そこに居たロアとクロアの姿に 思わず脚を止めてしまう。 何をしているのか迄は 分からない、 二人切りの光景。 ただ、静かに 寄り添っているだけにも見える、 恋人同士の風景。  
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