†悲†

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  その想い、心は、 今も変わっていない筈だが、 「―――――ッ!!」 遠目に見えた ロアとクロアの姿が 間近に重なりあった途端、 セキルの胸に沸き起こる ドス黒い嫉妬心。 実兄である筈のロアを、 護ると決めた二人の姿を、 壊して、独占して 手に入れたいと狂う、 執着の狂愛。 「違うッ!!」 そんな自分の想いに 激しく全身全霊を込めて叫ぶ、 「こんなものは愛なんかじゃないッ!!」 愛の否定。 そして、 セキルは 「ッ…ぁ…ッ!!」 その場に居ることが耐えられず、 立ち止まってしまった自分に 激しく後悔しながら 居住棟へと駆け出し 場を立ち去った。  
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