†悲†

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  数年前に一度、 雷雨と共に 聖界に進現して来た者に 目の前で ロアを浚われた事がある フィリルとレティス。 聖界に唯一、存在しない天候。 “雷雨” その者は、 激しい落雷と豪雨と共に あろうことか 聖司官執務室内に顕れ、 当時、その場に居た レティスとフィリル、 後から駆け付けたディフェル そして、 クロアの目の前で ロアを連れ去った。 共有意識と精神接触を利用し、 聖界に進現する基盤を造り上げ 聖界に顕れた者。 ―魔王― 事が事なだけに、 迂闊に口には出せない 雨の日に気落ちしていまう 本当の理由と原因。 「ライル殿が苦手なのも…本当なんだけどね…」 レティスに渡された書類を 確認しながら 気落ちを誤魔化す為に呟く フィリル。 その中で、 「あれ…ロア様の確認が入った書類もある…」 セキルとの一件が起きる直前に ロアが目を通し、 指摘を入れていた書類を見留め 「んー、これは…」 『クロアに経過を報告した方が…良いのかな…?』 今のロアとクロアの状況を 思い出してしまい 『……ロア様……待っていますからね…』 ロアの回復と復帰を信じ、 一度、止めてしまった歩みを 再開させ フィリルは中央へと向かった。  
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