†悲†

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  気付いてしまった 世界のカタチ。 知ってしまった 真実の姿。 戻れない現実。 それ等から逃れる為の 最初で最後の足掻き。 そうして、 漸く、辿り着いた聖域の端は 何もない断崖で、 下層に浮かぶ聖界の6階層と 天空の夜空が拡がる 救いの場の筈だった。 なのに、 最後の、最後で、 背後から追って来た聖― ――――― 「ロアッ!?」 降り頻る雨の中、 地に座り込み 聖主の結界の障壁を 必死に叩き続けるロアの姿に 背後から掛かる声。 「ッ…ぁ…」 零れる、 恐怖に満ちたロアの呟き。 背後に迫る 水を蹴る足音と気配に、 ロアが声と気配の主を 振り仰いだ時、 そこに居たのは 「クロア…」 ロアの恋人。 悪夢の世界で見付けた、       -ヒカリ- たった一つの希望だった。  
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