†悲†

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  神殿から中央、智天に届けた 書類の件で、 フィリルに呼ばれたクロアが、 自室として使っている ロアの棟の部屋に戻った時、 そこには 居る筈のロアの姿が無い室内が 広がっていた。 今は 自ら進んで行動を起こすことが 出来ない筈のロア。 その姿が無い事に クロアは蒼褪め、 「ロア…ッ!!」 直ぐ様、急いで ロアの行方を捜し始めた。 前に一度だけ、 心が壊れた日の夜に 聖主に連れ出された事があるが 先程、聖務室に聖主が居る事を 確認しているクロアは、 迷うことなく セキルの棟を目指し駆け出す。 聖主の命で ロアへの接触を 禁じられている為に、 有り得ないと心の片隅では 信じているが、 生命の間での一件が クロアの感情を騒ぎ立て 疑いの心を先に起たせてしまう。 だが、 「セキル様ッ!!」 セキルの棟に着く前に 廻廊の途中で 中央の書類を手にしている セキルと鉢合うクロア。 「何だ?」 クロアのただならぬ様子に 訝しむセキル。  
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