†悲†

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  「ロア様が居られません!!」 「な…」 事実のみを告げる クロアの言葉に瞠目し、 驚きの反応を露にするセキルに クロアは、 「聖主様への報せと棟内の探索をお願いします」 セキルを信じて、協力を願い ロアが自らの意思で動いた 可能性も考え、 ロアの行動と 自分よりも聖殿内に詳しい セキルに棟内の探索を譲り、 「お前は…ッ!?」 「外を捜して来ます!!」 自分自身は 雨の降り頻る棟外へと ロアを捜しに駆け出した。 そして、 雨に視界を邪魔されながら、 中庭を捜索していると 漸く、見付けたロアの姿。 中庭の一番奥、 聖主の隔離結界がある その場所で、 雨に濡れ、 地に座り込み、 どこかで転んだのか 泥に汚れた姿で 必死に結界の障壁を 叩き続けていたロア。 クロアが駆け付けながら、 「ロアッ!!」 ロアの名を呼び掛けると、 固まるように動きを止め、 ゆっくりと クロアの方を振り仰いだ。  
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