†始†

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  出逢いの偶然は奇跡で 再会の邂逅は意図的だった。 遥か数年前の中央組織。 クロアがまだ、 次期聖主側近となる前の頃。 ―中央組織、軍部智天― その日、 智天使長補佐ライルの使いで 神殿へ赴いていたクロアは、 中央に戻るなり、 当時の上官、 智天使長セティアに 次期聖主側近候補となる決意を 伝えていた。 「やっと、決意してくれたのか」 「はい、遅くなりましたがご推薦のお話、承りたいと思います」 当時、 軍部筆頭、 智天使長近衛官であったクロア。 そのクロアの決意の言葉に 安堵と喜びの微笑みを浮かべる セティア。 この時は、まだ公式な発表は されていなかったが、 既に一部の高官のみには 報されていた、 次期聖主側近を募る布令。 これまで、何度も 次期聖主側近候補への 推薦を打診されていたが、 頑なに辞退していた クロアの決断。 「お前なら必ず、次期様の側近になるだろう」 突然の 心境の変化を追及する事なく クロアの決意のみを了承し、 セティアは 直属の部下であったクロアを 自信と確信を持って送り出す。  
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