†始†

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  ザァァ――――ッと、 夜風が吹き抜け、 ロアの長い銀月の髪を 夜空に流す。 月光を弾く燐光が 二人の間に舞った。 その瞬間、降り降りる、 ―『お前は私が好きか?』― ロアの甘く、蠱惑的な 幻聴の声。 ―『好きなら、今、直ぐに抱け』― 愛などなかった 告白の言葉。 それでも、 クロアのロアを想う心から 始まった二人の関係。 主従でありながら 恋人同士となったロアとクロア。 あの頃にはなかった 何かの想いに突き動かされ、 「あ…」 ロアの唇から零れる 想いに溢れる呟きと 感情を満たし揺れる瞳。 「クロア…」 ロアが何かを告げる前に、 「ここで…お前の言葉で俺達の恋人関係が始まった…」 静かに二人の始まりを クロアは告げ、 そのまま、 常に腰に帯刀している 神剣を外し、 目の前に座るロアの膝の上に クロアは神剣を寝かせ置く。 騎士である者にとっては 魂であり、誇りであり、 忠誠を証す要の剣。 その上に、 クロアの行動に 戸惑うロアの両手を掴み載せ、 告げる― 「だから、ここから俺の言葉で恋人以上の関係を始めよう」 クロアの… 「結婚しよう。ロア…」 -アイ- コクハク 婚姻の言葉。  
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