†始†

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  瞬間― 「――――――ッ」 言葉に出来ない想いが ロアの心に溢れ出す。 騎士であり 側近であるクロアにとっては 全てを棄てる覚悟の言葉。 ロアの為に クロアがたった一つ出来る 救いの方法。 ―婚姻の誓い― 簡単でも安易でもない クロアの決断に、 泣き出したくなるような 切なさに満ちた想いが溢れ 声が詰まって 言葉が出せなくなるロア。 そんなロアに 「俺がお前の全てを背負って、お前の世界になる」 聖域の外に出れなくても、 ロアの心を聖域の外に出す クロアの言葉。 「お前が望むなら……二人で聖域を出よう」 それでも ロアの心が聖域の外を 求めるならば、 ロアの願いを叶えると誓う クロアの決意。 喩え、 その結末が何であろうとも、 ロアの心と魂を救うと決めた クロアの告白に、 ロアは…、 何故か― 頷く事が出来ず、 『だ…めだッ!!』 心の中に 『今の私では駄目だッ!!』 強く響く声。 『クロアの…想いに応えたい…けど…』 「今の…私では………駄目だッ!!」 クロアの想いに 直ぐには応えられない 今の自分に対する悔しさと共に 答えを振り絞る。  
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