†始†

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  聖殿を美しく鮮やかに 照らし出す早朝。 フィリルは 既に日課に成りつつある クロアの部屋への訪問を その日の朝も行おうとすると、 「ぅわ…ッ」 「ッ!?…フィリル…」 フィリルが扉をノックする前に 中から扉が開き、 ロアが自分から姿を表した。 「え!?…あ……え?」 突然、姿を見せたロアに驚き、 戸惑うフィリル。 「おはよう。心配を掛けてすまなかった」 「あ……は……はい…」 ロアは ハッキリとした口調と 落ち着いた態度で フィリルに朝の挨拶を含む、 謝罪を述べ、 「クロアなら中に居る、私は少し用事があるから…」 「あぁ…はい」 クロアの在室と 自らの要件を告げ 少しだけ急いでいる様子で フィリルから離れて行った。 つい、以前の普段通りに ロアを見送ってしまった フィリル。 「……………………え…えーと…」 余りに自然で 一瞬、何が起きているのか 理解できずに混乱していると、 「フィリル殿?どうかなさいましたか?」 立ち尽くすフィリルの様子を 訝しむクロアが 室内から姿を表し、 フィリルは、 「ッ!!ク…クロアッ!!今ッ!!…い…い…今ッ!!」 前日にも見たクロアの姿に 混乱していた思考が弾かれ 先程の状況を理解して、 「ロア様が喋って動いたッ!!」 「…ッ…は…はい…ッ」 クロアの胸倉を掴み、 喜びと驚きの声を上げていた。  
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