†始†

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  †愛†とは 一体、何なのであろう? 親愛、友愛、敬愛、情愛…。 クロアがロアに注いでくれる愛。 セキルがロアに強制する愛。 ロアには 愛と云うモノが分からなかった。 クロアを想うと 泣き出したくなるような 切なさと幸福に満ちた溢れた 想いが生まれ、 傍に居たいと望む気持ちが 際限なく沸き起こり、 クロアの注いでくれる 愛と云う想いに応え 満たされたいと強く想い 求めているが、 それが、 †愛†と云うモノなのか ロアには分からなかった。 ただ、 セキルの想いが 過ちの愛である事は はっきりと分かった。 おそらくは “―――――”に 強制されている偽りの愛。 今、それが分かったところで ロアには何も出来ず、 記憶などに関しても 何の意味もない事なのかも 知れなかったが、 少なくとも、 セキルも苦しんでいる事だけは ロアにも分かった。 ――――― 夕刻の聖殿。 ―――聖本殿内。 ディフェルが中央から戻ると、 そこには一人で ディフェルの帰りを待つ ロアの姿があった。 「お前…」 「小兄君、お帰りなさい。ご心配をお掛けしました」 セキルの棟に逗留している為に 神殿のレティスからの報せで ロアの回復を聞き知っていた ディフェル。  
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