†始†

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  だが、 直接、確認した訳ではない為に どこまで回復したのか知らず ロアが一人で 居住棟の外に出ている事も含め ディフェルは驚き、 一瞬、言葉を詰まらせた。 「……一人か?」 見当たる範囲に ロア以外の者の姿は無く 潜む気配も無い事から 一人であると分かっているが、 それでもディフェルが 確認してしまうと 「今朝、聖主様に解術の御願いをしました」 ディフェルが 本当に問い掛けた意味の答えを 迷わず告げるロア。 一人である確認ではなく 何故、一人で居住棟を 出ているのかを訊ねていた ディフェルの問い。 それに素早く気付く勘の鋭さ、 思考の回転の速さ、 落ち着いた態度、 何より聖主を “父上”とは呼ばずに “聖主様”と敬称を付け呼んだ ロアの様子に、 ディフェルは確かに ロアの中の変化を感じ取った。 「で、要件は何だ?」 ディフェルを待っていた ロアの目的を 前置きもなく率直に訊ねる ディフェル。  
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