†始†

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  ディフェルが先に自室のある セキルの棟へと帰り、 暫くの間、聖本殿に 一人で残っていたロアが、 自分の棟へと戻ろうとすると 外は既に夜の帳が降りていた。 自分の棟の中庭からではなく 聖殿の吹き抜けの廻廊から見る 聖殿の夜。 記憶の中では 見馴れている筈の光景に 不思議な想いが過り、 聖本殿から帰る途中で 思わず脚を止めてしまうロア。 月だけが夜を照らす 聖界の夜空を、 何も考えずに 静かに見上げて居ると、 「ロア」 「クロア…」 クロアがロアを迎えに表れ、 「戻りが遅いから迎えに来た」 「わるい…」 心配を掛けた事を謝るロアと そんなロアを優しく見詰める クロアが居た。 「ディフェル様には無事に会えたのか?」 中央組織から戻ってくる ディフェルと擦れ違う可能性は 限りなく低かったが、 帰りが遅かった為に クロアが訊ねると、 「大丈夫だ、無事に会えて…セキルの事をお願い出来た」 ロアは無事にディフェルに会い、 目的を果たせた事を伝える。 今朝、 クロアの腕の中で目覚めてから 今の自分と現状を変える為に、 一人で行動を始めたロア。  
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