†始†

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  リデアに対しては 義務的で無関心で いつも不機嫌そうで 厳しい表情をしている弟、 だけれども… その本心は、 ずっと外の世界を知らずに 封印されていたリデアと、 リデアと云う存在を ただの道具として考え、 封印を護り続けていた事に    カシャク 良心の呵嘖を感じ続け、 不器用になっているだけの弟。 そんな弟の内面をリデアは、 ちゃんと理解していた。 だから… ―“ねぇ…セラフ…”― いつか… ―“私達は兄弟に成れるかな?”― 一番上の兄と自分と…、 同じ父から産み出された 存在として、 兄弟に成りたかった。 ――――― ふっと暗い室内で、 ロアは目を覚ます。 寝室ではなく、居室の方の 長椅子のソファーで 寝具に包まり眠っていたロア。 目の前のテーブルの上に 幾つも置かれている書籍と 光の弱められている卓上灯を 暫く無言で見詰め、 たった今視た夢の内容を 考えながら、 ゆっくりと起き上がる。 本当ならば 寝室で眠るつもりだったが、 過去の記憶に襲われ、 流石にそこまでは 直ぐに実践できなかった。 しかし、 だからと言って、 クロアの部屋に戻っては 漸く着いた決心を含め、 全てが振り出しに戻る気がして ロアは居室で眠る事を 決めていた。  
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