†始†

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  ―――中央、熾天使長執務室。 午前と午後の公務の間。 休息の時となる時間帯の 熾天使長執務室内。 そこに、 兄、ロアの回復を切っ掛けに 謹慎が解かれ、 早々に中央組織への登庁を 再開させていたセキルを訪ね、 元老院長、最老ミレアが 訪れていた。 「元老院長殿」 突然のミレアの訪問に セキルは特に驚く様子もなく 対応し、 「謹慎が解けたと聴いたのでな」 ミレアも簡潔に訪問の理由を セキルに告げる。 他の補佐官を含む、 熾天使長ディフェルも 休憩や用事などで出払っている 静かな室内。 「ご心配をお掛けしました」 謹慎が解かれた後の セキルの様子を伺いに わざわざ元老院から中央へと 来たらしいミレアに、 深く頭を下げ礼を述べるセキル。 「良い、気にするでない」 謹慎前と 特に変わった様子のない セキルの態度にミレアは これと云った反応もなく応じ、 「では、これで失礼する」 本当に素っ気ない程、 あっさりとセキルの様子を 確認しただけで、 退室しようとする。 「おかしいと思いませんか?」 扉に手を掛け、 今にも出て行きそうな ミレアの背中に、 唐突に投げ掛けるセキルの一言。  
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