†始†

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  結果としては 無事にクロアの支えで ロアは情動を取り戻すまでに 心を回復させ、 聖主の宿命を受け入れられる 精神状態になったが、 下手をすればそのままだった 可能性もあった事。 その後、 「兄上ご自身が自ら進んで“聖主の宿命”を思い出そうとなされているのに“聖主の宿命”どころか“次期聖主”である事さえ…不自然な程、思い出せません」 “次期聖主”“聖主の宿命” この二つの言葉さえ、 未だに認識できないロアの 意識の不自然さ。 クロアの恋人だけで在りたい為 と、言ってしまえば それまでに思えるが、 一度、現状を変える為に 立ち向かうと決意したロアが、           コダワ いつまでも逃げとなる拘りを 持ち続ける筈がなかった。 何より、 「次期聖主…次代の新たな聖主となる事が、クロアと本当に結ばれる為に必要な事と、あの兄上が気付かれない筈はありません」 直面した物事を素早く、 様々な視点から捉え、 思考する事の出来るロアが、 【セフィロトの苗木】以外の 存在理由を得られれば、 現状を打開する可能性があると 気付かない筈がなく、 ロアを身内として 本当に良く理解している セキルに取っては 不自然なまでの記憶喪失。 「……………何が言いたい?」 セキルの指摘を 無言で聴いていたミレアの問い。  
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