†終†

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  詳細を教えられないのか、 教える必要がないのか、 はたまた、 今のロアには 教えられる資質がないのか、 何も教えられない現状の答えは 心のどこかで判っているが、 沸き起こりそうな不安と共に 答えを心の奥底へと押し込み、 ロアはクロアを待ちながら、 一人、推考を続ける。 「フィリル」 「はい」 「セキルが聖殿に戻って来ているか…確認は出来ないのか?」 部屋の中央の応接セットの 長椅子に座っているロアからは 離れた扉の位置に立つ フィリルへ、 無駄を承知でロアは問い掛ける。 「あー…、すみません。此所を動く訳にはいかないので…」 どこか困った表情での フィリルの応え。 「そうか…」 「すみません」 ロアの護衛と云うよりも、 今だけは、ロアが一人で 行動を起こさないように 監視する意味合いで 室内に留まっているフィリル。 やはり、 答えをはぐらかすフィリルに ロアも諦めの態度で軽く俯き 了承の意を返す。 中央に居るセキルの状況すら 教えて貰えないロアだったが、 『中央にいるセキルの事を隠すなら……中央も関わり動いていると言う事か…?』 事態に関わる情報を 隠そうとする意識。 それを利用し、 少しでも情報を集め、 あくまで推測としての仮定で 集めた情報を纏めて行く。  
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