†終†

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  『中央と神殿が動いて…聖主様も動く…?』 推測でしかないが、 仮定としての現状を 纏めていると、 不意に先日の夢が脳裏に過り、 ロアの中の不安を 一層、強くさせた。 『ッ!!』 夢の中でロアを見詰めて 笑った相手。 聖銀の髪に紫水晶の瞳の 冷麗とした美貌の どこか懐かしい面差しの主。 夢の中にも拘わらず ロアをはっきりと見詰め、 冷たく笑った夢の記憶の光景。 まるで この事態を暗示していた様な 夢の内容に、 『………早まるな…ッ』 全てを結び付けそうになる 自分を心の中で叱責し、 『全ては仮定……ただの推測だ』 自分自身の考えを戒める。 『とにかく、クロアを待って、もう一度、何が起きているのか訊いてみよう』 幾ら考えたところで、 情報の少なさから正しい答え、 判断は出せないと結論を出し、 クロアの帰室を待つ事にする ロア。 再度、問い詰めたところで クロアが教えてくれるのか 分からなかったが、 それでも、 恋人であるクロアを信じて 待っていると、 室内に軽いノック音が響き、 クロアが入室しながら、 「失礼します。“ロア様”」 恋人である筈のロアを 従僕として仕える主の様に 継承を付け呼んだ。  
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