†終†

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  一瞬、何が起きているのか 分からなかった。 しかし、 「同伴して頂きたい場が御座いますので、御同行をお願い致します」 拝礼と併せ 丁寧な言葉で告げられる クロアの意志。 ロアを恋人としてではなく、 主として接するクロアの言動に 硬直してしまうロアの思考と体。 「…あ……ぁッ…クロ…ア…?」 漸く、零れた言葉は クロアの意志に 応えるモノではなく、 酷く掠れた、 恋人を呼び求める震えた声。 もしかすると、 そうなのかもしれないと 考える事はあった。 自分とクロアの 恋人同士以外での関係を 考え始めた時、 違和感を覚え、 気付いたクロアの行動。 着替えも、その為の仕度も 片付けも、 落ちた本を拾う事でさえも ロアには一切させず、 全て、ロアに代わって行う クロア。 ただの恋人と云うには 過保護的なのかもしれないと、 まるで、 自分に仕える従者の様だと、 考えてはいたが、 恋人としての知識や行動を クロアを介してしか 知らないロアは、 無理矢理にでも それが恋人の行動なのだと 自分自身に言い聞かせ、 納得させていた。 それでも心の奥では、 いつか、 こんな時が来るのではないかと 考えてもいたロアの本心。  
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