†終†

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  だが、 「失礼します」 「ッ!!まッ…クロアッ!!待てッ!!」 もう、引き返す訳にも 引き返せる状況でもない現実に クロアは突然の事態の衝撃で 動けないロアを抱き上げ 無理矢理に連れ出した。 すると、 「待てッ!!クロアッ!!…ま…ッ…頼むからッ!!待てッ!!…クロア…ッ」 ロアは抵抗の声を上げながらも クロアの肩に腕を廻し、 キツく抱き付いてくる。 ロア自身もどこかで 分かっていたのかも知れない 抵抗の訴え。 「クロ…ア……」 『ッ!!』 ロアがクロアの肩に腕を廻し 抱き付いている為に 互いの表情の見えない状態で 耳許で聞こえた懇願の声。 泣いている様なその声に あの雨の日に見た、 ロアの泣き顔が過り、 クロアは息を詰め必死に堪える。 どれだけ頼んでも 決して脚を止めず、 立ち止まらないクロアに 諦めたのか、 その後は何も言わず、 大人しく 抱き付くだけとなるロア。 そうして、 クロアが向かった先は、 ロアが踏み入れる事の 出来なかった居住棟の最奥。 クロアが ロアの心の壊れた日の深夜に 見詰めていた思い出の部屋。  
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