†終†

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  そこに辿り着き、 扉を開けようとした時、 「まッ!!待てッ!!クロアッ!!…最後だからッ…これで最後にするからッ!!」 それまで大人しく 抱き付いていたクロアの体から 少しだけ身を放したロアの、 「最後に……口付けを…して欲しい…」 泣きそうな 諦めの決意を宿す表情で、 ただの恋人としての 本当に最後の懇願が上がった。 その部屋の扉を開き、 中に入ってしまえば、 もう二度と、 だだの恋人同士には 成れない二人。 従える者と従う者。 ロアとクロアの本当の関係。 それに戻ってしまう前に、 ただ、愛する者と ただ、愛される者としての 最後の口付けを求める コイビト ネガイ ロアの言葉。 もしも、 このまま、 だだの恋人同士だけで 居られるならば…、 “このままで居たかった…” それは ロアとクロア、 どちらの本心なのか…。 ただ、 クロアはロアの願いに、 唇ではなく、 左耳のイヤカフに、 そっと 最後の口付けを落とした。  
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