†終†

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  クロアと伴に脚を踏み入れた その部屋の記憶は正しく―闇― 他の部屋と同じ様で違う 薄暗い室内。 窓も扉も全て封印され 閉ざされた部屋。 眠るための寝台と天蓋幕。 そして、 寝台に取り付けられた 銀製の手枷。 たったそれだけしかない、 その部屋に、 ロアは、 自分自身から身を護る為に 監禁されていた。 ―過去に呑み込まれる意識。― 逃げ出しても連れ戻され、 生きる事を強要される現実。 強制された大罪の宿命。 光の中の闇を思い知らされ 突き付けられた真実に どれ程、抵抗しても抗う術なく 従うしか許されなかった自分。 始めはただ絶望し、 壊れるだけだった。 生かされるのなら 生きるしかないのだと 全てを諦めかけていた。 けれど、 諦めきれない願いがあった。 セフィロトの苗木として産まれ モノとしての性質が強く、 何も望むモノが無い筈の 自分の心に、 母との約束を守り、 弟を護りたいと 願う気持ちがあった。 『生きるしかないのなら…』 自分にとっては 暗い絶望しかない世界の中で 『生きてやるッ!!』 強く誓った、新たな決意。 喩え、 醜いほど惨めに足掻いても 絶望の世界と宿命を背負って 生きなくてはならないのなら 大罪を招く愛を棄て、 生きて、 生きて、 生き抜いてやると 自分自身の命に誓った。  
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