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入室し、
部屋の光景を目にすると、
記憶に意識を
呑み込まれたかの様に
床に座り込み
深く項垂れたロア。
「クロア…」
髪に隠れた表情の唇から、
自分の背後に控え立ち、
成り行きを見守るクロアへ
ぽつりと上がる声。
「ここで…お前と私は“初めて出会った”」
その部屋での
記憶の事実を語る言葉。
クロアにとっては
意図的な再会であったが、
その頃のロアにとっては、
14の時の思い出など、
心を壊す過程で捨て去り、
初見だったクロアとの邂逅。
クロアに対し、
何の興味も関心も無く、
寧ろ、
主と決めた者以外の言に従う者。
ハ
腰に佩いた神剣が
目に付いた事から、
気紛れに問い掛けた。
―『お前は私を殺してくれるか?』―と、
勿論、
その時のクロアからの
返答はなかった。
「お前が私の脚を壊したのも此所だ…」
懐かしい思い出を語る様に
クロアに両脚を壊させた事を
ロアは邂逅の思い出の次に語る。
クロアを認めなかったロアに
認められる為、
―『私が貴方の側近と成る為の命を下さい』―
そう願い出たクロア。
それに対して
メイ
初めてロアが下した命。
それが、
―『私を殺せ。…クロア・K・キセア』―
主に剣を向けさせ、命を奪う
酷薄なモノだった。
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