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故に、
クロアは
主であるロアに剣を向けた。
命を奪う為ではなく、
命を護る術を奪う為に、
―『私には貴方を殺す事が出来ません』―
ロアの右脚に突き立てた
神剣を握り締め、
―『ですから、命の代わりに命を護る術を奪わせて下さい』―
クロアが忠誠の誓いの代わりに
告げた言葉。
―『足の機能が使えなければ、万が一の時、貴方は命の危険を回避できない。代わりに私が貴方の足に…いえ、貴方の物に成ります。ロア様』―
死ねない死を望み、
生きてはいない生き方を
貫こうと決めているロアに
正しく応えたクロアの忠誠。
だからこそ、
ロアはクロアだけを信頼し
愛されようと決めた。
生きる為の願いを叶える為に
愛を棄てても、
愛されなくては
ならなかったから…。
愛されるだけのモノとして、
クロアに自分の全てを捧げ、
形だけの恋人同士になった。
それが、
本物の恋人同士と成る日が
来るとは思いもせずに、
ロアの心はクロアを選び、
中庭の告白で二人は結ばれた。
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