†終†

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  右手の指輪を見詰めながら 「クロア」 「はい」 「お前は私のモノだ」 欠けていた 記憶の全てを思い出した ロアがクロアに告げる。 クロアをロアのモノとして 所有物する言葉。 だが、 「たが、私もお前のモノだ」 「はい」 同時に ロアもクロアに 所有されるモノであると ロア自らが口にする。 クロアがロアを 恋人として所有する 許しを与える主の言葉。 もう、二度と ただの恋人同士には戻れない証。 恋人であり、 主従である二人の関係。 主従であるからこそ、 恋人と成れた二人の絆。 「ハッ―!!」 俯くロアの唇から上がる 吐き捨ての嘲笑。 そのまま続く、 「滑稽だと思わんか?」 ロアの淡々とした無機質な、 「なぁ……クロア」 密やかな笑いを含む、 冷たく、 聞く者の心を凍り付かせる 冷やかな冷笑の声。 ロアが記憶を喪う前のロアに クロアの主に戻った証。 そして、 「とても面白い事を教えてやろう」 元の性情に戻った クロアの主のは、 「私は“学殿院占拠事件の黒幕”を知ってる」 「ッ!?」 何も知らされていない筈の 事件を語り、 薄紅の唇だけで 秘めやかに美しく“嗤った。”  
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