†終†

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  「此処って相変わらずだよねぇ」 「そうですね」 時折、 交わされる何気無い会話。 『第2階層って……来るの、久しぶり振りだなぁ』 クロアに声を掛けながら 自分達が立っている路地の 近くを走る通りへ眼をやり、 内心でそんな事を呟くフィリル。 一見、暇を持て余し、 時間を潰すような、 待ち人を待っているような、 どちらとも付かない態度で 立っている二人。 その目的は、 反乱組織の隠れ家に向かう ロアとセキルの護衛。 但し、 相手を油断させる為、 隠れ家には ロアとセキルの二人だけで 向かう形を取るために、 クロアとフィリルに、 セキルの側近達は 一足早く、第2階層へと入り 待機していた。 計画では 近くの通りを通過して現れる ロアとセキル。 その主を待ちながら、 自分達とは、 通りを挟み反対側にある路地に 同じく身を潜ませている セキルの側近達の様子を フィリルは伺いつつ、 『それにしても……』 ぼんやりと 記憶を喪う前の姿に戻った ロアの事を思い出していた。 ――――― ―――聖域。 フィリルも居たロアの私室に、 クロアがロアの側近として 聖務室から戻ってきた時、 愕然とした表情で 立つことも出来ない程の 衝撃を受けていたロア。  
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