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セキルの姿を見た一瞬だけ
フィリルにはロアの肩が
微かに強張った様にも見えたが、
「戻ったのか」
直ぐに室内に響く、
聖主の確認。
「それは貴方が一番良く、ご存知でしょう。“聖主様”」
冷笑と併せて告げる
ロアの当て付け。
親子でありながら、
互いの内情を探り合う
以前の会話。
「次期」
ロアのその態度に
ミレアの諫めが飛ぶが、
「今は無用な会話をする暇がありますか?叔父上」
言葉を返すべき相手を視ずに
会話を切り捨てるロア。
「では、どうするつもりだ」
すっかり元に戻ったロアに
ディフェルが
心中なんとも言えない呆れと
安堵に感心などを
-ナ-
綯い交ぜにした複雑な声で
本題を問い掛けると、
ロアは、
「どうもしません。要求に応えるだけです」
あっさりと簡単な事ではない
答えを口に出し、
「本部の指導権を下さいますよね?聖主様」
当然とした態度で、
対策本部の指揮権ではなく
指導権を要求した。
記憶が戻ったばかりで
在りながら、
事態を掌握しているような
ロアの態度。
聖主は、
「ロア・S・セイン、汝を本件に於ての指導者に任ずる。」
そんなロアの要求を
追及する事なく聞き入れ、
「延いては、中央組織、熾天使長ディフェル、神殿、聖司官代理レティス、元老院、最老ミレアは指揮者としてロアの元に下り、本件の迅速な終結にあたれ。」
ディフェル達にロアの指導の元、
指揮者として下る命を下した。
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