223人が本棚に入れています
本棚に追加
/519ページ
「お前、一月近く前にはまだ…」
「一月近く前に神殿へ、神殿管理施設での不審者目撃の報告書がありました」
記憶の無かった頃には既に
警告を出していたとも言える、
ロアの発言に、
呆れるしかない様子で
問い掛けるディフェルに
事の発端を説明し始めるロア。
「報告書の内容はどれも些細なモノですが、一月近くの間に急激に増えていた目撃情報に、何らかの目的がある者達の犯行ではないかと考えていました」
それは本当に偶然の重なり。
ロアの記憶がまだ、戻らない頃、
クロアがロアに提案した
神殿の手伝い。
その中にあった
幾つかの神殿管理施設での
不審者目撃情報の報告書。
一つ一つは本当にたわいの無い
些細なモノであったが、
当時、記憶の無い状態ながらも
ロアの直感が告げた不審。
「杞憂であればそれで良し、ですが、万が一を考えれば用心に越した事はありません。ですから…」
「智天へ警備態勢強化の申請をした」
「そうです」
ロアからの書類を受け、
智天に届けるようフィリルに
指示していたレティスが
ロアの言葉を拾い、
その後の書類の過程を呟くと
同意するロア。
「その後、フィリルから私の書類が智天に届けられた事を知ったクロアは、次いで第2階層にある各反乱組織等の動向調査も依頼していました」
更にその後、
ロアの書類が
智天に届けられた事を知った
クロアが
本来ならば、
記憶のあるロアが出すであろう
指示を予測しとっていた行動。
最初のコメントを投稿しよう!