†終†

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  一見、 完全に戻っている様に見えても レティスは気付いた ロアの違和感。 「お答えする必要がありますか?」 「いや、良いよ」 レティスの確認に 少しの動揺もなく、 問い掛けで答えるロアに 暗黙の了承を返すレティス。 聖域で“聖主”を敬称を付けて 二度も呼んでいるロアの言葉。 本来ならば、 聖主を“父上”としか呼ばない ロアの言動を 知っているからこそ気付いた レティスの確認。 「一応、確認しておきたかっただけだからね」 最悪の場合を想定するためにも 今のロアの状態を 正しく知っておく必要があった レティスは、 それだけを確認すると 「無茶をする事だけは止めておきなさい」 何の事に関する記憶が 欠けているのかを問う事なく 無駄な事と分かっている忠告を ロアに残し、 「約束は出来ません。ですが、善処はします」 それに対する 実にロアらしい返答に 溜め息混じりの苦笑を浮かべ、 その場を退室した。 ――――― 最終確認の状況に至るまでの そんな各々の状況を ディフェルとレティスが 思い出していると、 不意に騒がしくなる本部内。 そして、 「次期様及び、セキル様が第2階層の通用門を通り、スラム区へ入られました」 各階層への出入りを監視、 管理している中央管理局から ディフェル達が待っていた ロア達の行動を報せる 一報が入ってきた。  
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