†終†

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  ――第2階層、スラム区。 各階層への移動を中央組織が 監視、管理している中央管理局。 その中に設置されている 通用門を通り、 第2階層へと足を踏み入れた ロアとセキル。 だが、 通用門を一歩通り抜けると、 ロアは身に纏わり付き、 肌の表面を炙るような 第2階層の瘴気を含む大気に、 「ッ…」 「兄上」 軽く息を詰め、 一瞬、微かに立ち眩み、 セキルに支えられる。 幼い頃から、 聖域以外の各階層を行き来し 第2階層の瘴気に対しても 免疫のあるセキルとは違い、 これまで、神気のみにしか 触れられなかったロアの体。 その為に起きた軽い拒絶反応。 「平気ですか?」 ロアの体を軽く支えたまま、 落ち着いた面持ちで 様子を伺うセキル。 「……平気だ、」 ロアは肩で一つ、息を吐くと 感情の読めない無表情で セキルの支えを離れ、 一度、立ち止まってしまった 歩みを再開させる。 セキルと二人切りで 触れられても、 怯える事はないロア。 そのまま真っ直ぐに 中央管理局を出ようとする ロアだったが、 「兄上」 「何だ」 中央管理局の出入口手前で 傍らのセキルに呼び止められ、 「ここを出る前に、これを飲んで下さい」 セキルに手渡される、 一つの小瓶。  
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