†終†

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  大通りから一歩、脇道に入り、 犯行組織の隠れ家が 何処かに潜む荒れた裏通り。 時折、見るからに粗暴な者や 一見、 暴力とは無縁そうな者達が 行き交う通りに目をやり、 第2階層に着いたロア達の 通過を待ち続けているクロア達。 「それにしても、ロア様達……大丈夫かな…」 治安の最も悪い第2階層で 正体が分からない様に 変装しているロア達を心配する フィリルの呟き。 「セキル様が御一緒ですので大丈夫だと思いますが」 「いや…うん、まぁ……そうなんだけど…」 見聞きする限りでは 落ち着き払ったクロアの返答に 同意するフィリル。 「だけど……ここであの格好を…よく許可したよね…」 出発前の対策本部で見た、 ロアの変装を思い出し、 しみじみと不安を滲ませ 呟やいてしまうフィリルに、 「一番、分かり難い姿ですから」 ロアの変装を手伝ったクロアは 理由を応えながら、 ふと聖域から対策本部までの ロアとのやり取りを 思い浮かべていた。 ―『何を驚く?』― 聖域、居住棟の最奥の部屋で 邂逅の記憶を取り戻し、 元の性情を取り戻した時、 何一つ知らされていなかった 占拠事件の事を口に出したロア。 「消去法で考えろ」 占拠事件を言い当てた事に 驚くクロアへ、 ロアはそう言って 素っ気ない程、淡々と 言い当てた理由を説明する。  
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