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室内にたった一つだけ
置いてある家具の寝台に腰掛け、
軽く脚を組み説明する
ロアの言葉を、
「消去法……、」
ロアの正面に立ち控えた状態で
繰り返すクロア。
「そうだ。」
簡単な事の様に
教えられた理由を、
直ぐには納得しきれない様子で
呟くクロアに
あっさりと頷き返すロア。
そして、
「先ず“何らかの重大事件が起きている”これはお前達の様子から伝わる分かりきった現状だ」
今の部屋に来るまでの状況から
現在、起きている事柄を
告げるロアの言葉。
「次いで、何処で何が起きているのかだが…各組織の中で聖主を動かす程の重大事件が起きる可能性が今、一番、高いのは“正式な筆頭の欠席が続いている神殿”」
本来の神殿筆頭、
聖司官であるロアの不在。
更に、
「それに加えて、ここ一月半で増えていた不審者目撃の報告書」
クロアも知っている
ロアが気にかけ、
後に智天へ警備強化の
申請に至った報告書。
それらから
事件の起きている組織を
特定するロアの説明。
「報告書にあった目撃の施設は複数だが、もしも“何らかの目的がある者達が、その目的を果たす為に何かを計画して動いているとするならば”それは“目的の為に交渉できる行動…交換条件の出せる何処かの占拠”」
淡々と冷静な口調で
事件に至るまでの相手の思考を
推察する。
「一番都合の良い場所は“組織の筆頭が欠席している神殿関連施設”その“自分達が占拠しやすく、管理しやすい場”【年齢的にも従順な成人前後の者達が集う場―学殿院―】」
正式な筆頭の長期不在で
狙い易い可能性の出ている神殿。
その関連施設を狙った犯行。
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