†終†

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  「故に、可能性として今、起こり得る事件は【学殿院占拠事件】…難しく考えず、過去からある情報と現状を纏めれば、消去法で簡単に出る答えだ」 過去に散り広がる情報と、 今ある現在の情報を纏め挙げ 可能性を切り出すロアの答え。 邂逅の記憶を取り戻すと同時に 自身が持ち果たすべき 役割と責任を取り戻し、 現状を理解するために 直ぐ様、自分の中にある 情報を纏め挙げたロア。 クロアが側近として仕える主。 もう、クロアに頼る事のない、 他に頼られ、他を従える 主の姿に、 感嘆と郷愁を綯い交ぜにした 溜め息をクロアは溢す。 そんなクロアに、 「安堵するのはまだ、早いぞ」 警告を告げるロアの言葉。 その一言で 鋭く引き締まる二人の空気。 「私はまだ、自分が何であり、何を背負う者なのか分からないままだ」 「!?」 低く冷たく、凍るような声で 二つの事柄だけが 思い出せていない事を ロアはクロアに告げる。 “――――”“――の――” 脳裏に浮かんでも、 不自然な程に思い出せない言葉。 そのあまりにも不自然過ぎる ロアの記憶の状態に、 「奴等が関わっている」 一体、何がどのように、 関わっているのか 言葉にしないロアの忠告。 ロアの示す奴等。 その存在が何であるのか。 その正体を 瞬時に察した剣呑な表情で、 クロアは、 「では、御命令を…」 全ての状況を打開する為に 側近として動く命を主に求めた。  
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